2008 Fiscal Year Annual Research Report
ペロブスカイト型酸化物への水の溶解と、その安定性とプロトン伝導
Project/Area Number |
19686045
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宇田 哲也 Kyoto University, 工学研究科, 准教授 (80312651)
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Keywords | ペロブスカイト / 水和反応 / 脱水反応 / 熱力学 / 燃料電池 |
Research Abstract |
BaをドープしたLaScO3はドーパントであるBa(II)がLa(III)サイトを置換し、全体の電気的中性を保つために酸素空孔が生じる。更に加湿雰囲気ではH20が溶解し、その電離により、プロトンが導入され、これが電気伝導に寄与する。このため600℃程度で動作する中温型燃料電池の電解質への応用が期待される。本系において、酸化物中の水の安定性の評価、プロトン伝導機構のアイデアを得るために、前年度に引き続き、La0.6Ba0.4Sc02.8-BaZr03系の相平衡関係を調査した。またBaOの固溶限以下の種々の組成をもつこの系の酸化物中のH20の安定性、プロトン伝導度とBaOの濃度の関係を調査した。その結果、以下の結論を得た。(1)1600℃でのLa01.5-Sc01.5-BaO擬3元系状態図を作成した。この状態図において、LaSc03へのBaOの固溶量はXSc01.5=0.5の時、XBa0=0.24である。(2)1600℃でのLa01.5-Sc01.5-Ba0-Zr02擬4元系状態図を作成することにより、広い組成領域に立方晶ペロブスカイトの固溶体が存在することがわかった。また、酸素空孔濃度が高い状態で酸素空孔が規則配列を起こすか、もしくはペロブスカイトを構成するカチオン同士がある特殊なペアを形成し、格子が縮小したと考えられる。(3)BaOの濃度が増加すると、酸化物中のH20が安定化してプロトン濃度が高くなるだけでなく、プロトンの拡散の活性化エネルギーも小さくなることで、電気伝導度が高くなる。(4)試料A2(La0.575Ba0.425Sc0.875Zr0.12502.85)を用いてH20の浸透を調べたところ活性化エネルギーの観点から、H20の浸透はH+とO2-が拡散することと同等であると考えられる。
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Research Products
(1 results)