2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小空間内の精緻な流れ場を利用した高選択的気固触媒反応器の設計と反応機構の解明
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19686047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
牧 泰輔 Kyoto University, 地球環境学堂, 准教授 (10293987)
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Keywords | マイクロ化学プロセス / マイクロリアクター / 反応速度論 / メタノール分解反応 / ラマン分光法 / 赤外分光法 |
Research Abstract |
本年度はサブテーマ(1)「マイクロ反応器の役割の明確化とマイクロ反応器内における触媒反応機構の解明」を中心に行った。まず、反応中の触媒表面の経時変化や表面活性種のマッピングを可能とするプレート型マイクロリアクターの作製をおこなった。装置の性能を検証するため、Au担持酸化鉄触媒による水性ガスシフト反応を実施したところ、反応時間の経過とともに650cm-1付近にピークがあらわれるのが確認された。このピークは水性ガス反応中に触媒担体である酸化鉄が還元されFe3O4に変化したことを示しており、この形態変化にともにない反応活性が向上することを明らかにした。さらに、ガスの流れ方向にラマンスペクトルをライン測定すると、反応器後部ほどFe3O4のピーク強度が高いことが観察された。以上より、Au担持酸化鉄触媒を用いた水性ガスシフト反応においては、担体がFe304に還元されるほど活性が向上すること、Fe2O3の還元はCOとH2Oの反応によって生成したH2との反応によることが示唆されており、この結果は多くの研究者に提唱されている反応機構とよく一致している。これより、作製した装置はマイクロリアクター内の反応挙動の追跡が可能であることが確認できた。 また、サブテーマ(3)「高い選択率を得るためのリアクターの設計」について検討をおこなった。リアクターの形状により微小空間内の濃度分布を制御し得ることがマイクロリアクターの利点であり、濃度分布を理想的な状態に近づけることで、壁面触媒装填型マイクロリアクターが目的生成物の収率向上が達成できる。その方法の一つとして、不活性成分を導入して目的生成物を拡散させ、反応器内部の濃度分布を制御することについて検討したところ、反応器の途中から不活性成分をすることで、反応活性の低下を抑制しつつ目的生成物の選択率を向上し、目的生成物の収率を大幅に増加できることを示した。
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