2008 Fiscal Year Annual Research Report
ナノバイオ磁性ナノ粒子を用いたマルチスケールバイオマニピュレーション
Project/Area Number |
19686049
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
井藤 彰 Kyushu University, 大学院・工学研究院, 准教授 (60345915)
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Keywords | 磁性ナノ粒子 / リポソーム / 磁気分離 / 遺伝子導入 / 共培養 / 再生医療 / ティッシュエンジニアリング |
Research Abstract |
本研究では、磁性ナノ粒子をバイオマテリアルで修飾した「ナノバイオ磁性ナノ粒子」を用いて、幅広いスケールのバイオ磁気操作の研究を行うことを目的とした。平成20年度は主に以下の2つの研究課題に関して研究を行った。 1. レトロウイルスベクターの磁気濃縮 レトロウイルスベクターは遺伝子の運び屋であり、遺伝子導入の強力なツールであるが、使用前に力価を高めるためにレトロウイルスを濃縮する必要がある。そこで、レトロウイルスに静電的相互作用で結合するナノバイオ磁性ナノ粒子を作製し、レトロウイルスベクター溶液に添加して、磁石で磁気分離を行ったところ、レトロウイルスベクターを高効率で回収することができ、回収後の懸濁溶液の液量を減らすことで、濃縮することができた。さらに、磁性ナノ粒子に吸着したレトロウイルスベクターは、磁力で感染領域を制御することが可能であった。これらの結果から、レトロウイルスといった極めて小さい物質を磁気操作する技術の開発に成功した。 2. 再生医療における共培養細胞の磁気分離法 再生医療において、目的細胞を他の細胞と一緒に培養する方法(共培養法)は有用な手段である。例えば、胚性幹細胞(ES細胞)は、マウス胚性線維芽細胞やその細胞株であるSTO細胞をフィーダー細胞として、その上で共培養されることで、未分化能が維持される。本研究では、STO細胞に予めナノバイオ磁性ナノ粒子を取り込ませておき、共培養後に磁気分離で排除するといった新しい磁気分離法を開発した。この磁気分離法によって、100%近い精製度でES細胞を回収でき、さらにフィーダー細胞を除去したことで、その後の分化誘導のプロセスである胚様体形成率が向上した。これらの結果から、本方法は再生医療の培養プロセスにおいて有用であると考えられる。
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Research Products
(9 results)