2007 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉第一壁タングステンおよび炭素のミキシングとトリチウムダイナミックス
Project/Area Number |
19686055
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大矢 恭久 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (80334291)
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Keywords | トリチウム / 炭素イオン / タングステン / X線光電子分光法 / 昇温脱離法 / 同時照射 / 核融合 |
Research Abstract |
本研究では、タングステン表面での炭化タングステン膜の形成と同時に打ち込まれるトリチウムを含む水素同位体のダイナミクスについて、同一環境下で同時に理解することを目指す。本目的達成のために、炭素イオンおよび水素同位体イオンを同時にタングステン中に照射するとともに、試料を大気中に曝すことなく昇温脱離実験が可能な実験システムの構築を行った。本装置では炭素イオンと水素同位体イオンを同一深さに照射可能とした。本装置を用いて、室温にて炭素イオン照射後に重水素イオン照射を行ったタングステン試料と、炭素イオンおよび重水素イオンを同時に照射したタングステン試料の昇温脱離スペクトルを比較したところ、同時照射した試料では、重水素の滞留量が大幅に低減した。一方、炭素イオン照射後に重水素イオン照射した場合、特に800K付近の脱離ピークが大きく、このピークは炭素に捕捉された重水素の脱離に寄与すると考えられる。X線光電子分光装置による表面化学状態分析の結果、炭素イオン照射後に重水素イオン照射した場合は表面にC-W結合が多く存在し、C-C結合は重水素により選択的にスパッタリングされている可能性が示唆された。一方、炭素イオンと重水素イオンを同時照射した場合は、W-C結合とともにC-C結合も存在しており、炭素による重水素の捕捉が少ないことが考えられた。走査型電子顕微鏡観察による表面観察では、炭素イオンおよび重水素イオン未照射面ではタングステンの粒界が残っていることがわかるが、照射面では粒界は存在せず、明らかに別の膜に覆われているように見られ、これらの結果はX線光電子分光の結果を支持していると考えられる。今後照射温度やイオンフルーエンス等を変化させ、さらに詳細なメカニズムを検討する予定である。
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