2008 Fiscal Year Annual Research Report
核融合炉第一壁タングステンおよび炭素のミキシングとトリチウムダイナミックス
Project/Area Number |
19686055
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
大矢 恭久 Shizuoka University, 理学部, 准教授 (80334291)
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Keywords | トリチウム / 炭素イオン / タングステン / X線光電子分光法 / 昇温脱離法 / 同時照射 / 核融合 |
Research Abstract |
本研究では、タングステン表面での(炭化タングステン膜の形成と同時に打ち込まれるトリチウムを含む水素同位体のダイナミクスについて、同一環境下で同時に理解することを目指す。昨年度までに構築した炭素イオンおよび水素同位体イオン同時照射装置にヘリウムイオン照射装置を付加し、3種イオンの同時照射を行うことができるシステムを構築した。また、照射による材料表面の損傷評価のために、原子間力顕微鏡を整備した。これらの装置にて、炭素イオンおよび重水素イオンフラックス依存性について検討したところ、同時照射時の炭素イオンと重水素イオンのフラックス比を変化させることによる重水素滞留量が大きく変化することが示された。特に炭素による捕捉への影響が大きいことが明らかとなった。微細組織観察の結果から同時照射したタングステンでは多くの転位や転位ループ等の照射欠陥が形成されているとともに、炭素の存在も確認された。また、加熱により炭素が偏析し、炭化タングステンが形成することが明らかとなった。重水素イオンフルエンスを変化させた実験より、重水素は結晶粒界に優先的に捕捉されるがその後、転位、転位ループや炭素に捕捉されることが明らかとなった。また、炭素によって捕捉された重水素滞留量は、化学スパッタリングの影響を受けやすいことが示唆された。このことから、炭素による重水素滞留量を評価する上で化学スパッタリングの影響を考慮することが重要であることが示唆された。今後、照射温度を変化させるとともに、ヘリウムイオンを含む3種イオン同時照射における重水素滞留メカニズムについて検討する予定である。
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Research Products
(8 results)