2008 Fiscal Year Annual Research Report
液相法による超リチウムイオン伝導体の創製に関する研究
Project/Area Number |
19686057
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
星野 毅 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究職 (80370469)
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Keywords | 超リチウムイオン伝導体 / 液相法 / リチウムセラミックス / 核融合炉 / トリチウム / チタン酸リチウム |
Research Abstract |
核融合炉の燃料となるトリチウムは、核融合炉ブランケット内に装荷されるトリチウム増殖材料(チタン酸リチウム)中のリチウム(Li)と中性子との核反応により自ら炉の中で生産しなければならない。この核反応によりチタン酸リチウム中のLiが核的燃焼により損失する。更に、トリチウムを回収する際に使用する水素添加ヘリウムガス中ではLiの蒸気圧が高いことから、チタン酸リチウム中のLiが蒸発により損失してしまう。そこで、チタン酸リチウムであるLi_2TiO_3よりLi/Ti比が大き<(Li/Ti>2)、しかもLi_2TiO_3の結晶構造を持つ超リチウムイオン伝導体の一つと考えられるLi添加型Li_2TiO_3(Li_<2+πTiO_<3+y>)が必要とされる。そこで、前年度の課題であるLiを添加しても単一相な結晶構造のLi_<2+x>TiO_<3+y>合成法の開発を行った。 Li/Ti比を任意に制御するために、始発粉末として水酸化リチウム-水和物(LiOH・H_2O)とメタチタン酸(H_2TiO_3)を用い、無添加Li_2TiO_3のLi/Ti比であるLi/Ti=2.0及びLi量をより多くしたLi/Ti=2.2,2.4になるよう始発原料を調整し、回転混合機で混合放置後500℃にて仮焼後再び粉砕混合してから1200℃で焼成する工程で試料合成を行った。得られた試料の結晶構造をエックス線回折(XRD)で、Li/Ti比をICP分析で測定し解析した。 始発原料である水酸化リチウム-水和物とメタチタン酸を数日間混合させることにより、常温にて始発原料同士の固相反応が進行し、水分を多く含むゲル状となった。このゲル状試料を焼成した試料について、合成前Li/Ti比が2.2のLi添加型Li_2TiO_3は無添加Li/TiO_3のXRD回折ピークと一致し、他の不純物相は観察されなかった。更に、Li/Ti分析結果から、合成前後のLi/Ti比はほぼ一致しており、Liの添加を確認した。これらの結果より、回転混合よる始発粉末の常温反応を用いた水分を多く含むゲル状試料化を合成過程に取り入れることで、結晶構造安定性が高く、超リチウムイオン伝導体としても期待されるLi添加型Li_2TiO_3が合成可能となることを初めて明らかにした。
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Research Products
(5 results)