2009 Fiscal Year Annual Research Report
液相法による超リチウムイオン伝導体の創製に関する研究
Project/Area Number |
19686057
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
星野 毅 Japan Atomic Energy Agency, 核融合研究開発部門, 研究職 (80370469)
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Keywords | リチウムイオン伝導体 / 液相合成法 / リチウムセラミックス / 核融合 / トリチウム / 結晶構造解析 |
Research Abstract |
核融合炉の燃料となるトリチウムは、核融合炉ブランケット内に装荷されるトリチウム増殖材料(チタン酸リチウム)中のリチウム(Li)と中性子との核反応により自ら炉の中で生産しなければならない。この核反応によりチタン酸リチウム中のLiが核的燃焼により損失する。更に、トリチウムを回収する際に使用する水素添加ヘリウムガス中ではLiの蒸気圧が高いことから、チタン酸リチウム中のLiが蒸発により損失してしまう。本年度では、液相法を用いてチタン酸リチウムのLiサイトにLiを過剰に導入した超リチウムイオン伝導体を創製し、核的燃焼によるLi損失及び蒸発によるLi損失に対する化学的安定性の向上を目指すと共に、結晶構造解析にて添加されたLiの状態を解明し、各種リチウムセラミックス材料への合成法の適応を検討した。 LiOH・H2OとH2TiO3を始発原料とし、定比組成(Li/Ti=2.0)よりLi添加量の多い、超リチウムイオン電導が期待されるLi添加型Li2TiO3(Li/Ti>2.0)の試料合成を行い、得られた試料の結晶構造とLi添加量を、エックス線回折、中性子回折、誘導結合プラズマ発光分光法等にて分析した。その結果、Li添加量がLi/Ti=2.2の場合、定比のチタン酸リチウムであるLi2TiO3(Li/Ti=2.0)と同等な結晶構造の単一相であること、更に、よりLi添加量を多くした(Li/Ti>2.2)場合ではLi4TiO4相も混在する二相混合物になることが判明した。 これらの結果より、始発原料としてLiOH・H2OとH2TiO3を用いる新たに発案した液相法によるLi添加型Li2TiO3合成では、混合時のLi添加量の上限をLi/Ti=2.2とすることで、核融合炉にて高温長時間使用可能なITER-TBM用トリチウム増殖材料として最適な単一相のLi添加型Li2TiO3であるLi2.2TiO3+yの合成に成功した。また、核融合材料の新機能性材料合成に成功したことは、発案した本液相合成法を用いることで、リチウムイオン電池等の他の研究分野においても必要とされるLi添加量の多い超リチウム伝導性セラミックス合成への波及効果も期待できる。
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Research Products
(5 results)