2008 Fiscal Year Annual Research Report
動的化学種分布評価手法による放射性核種の環境動態の解明
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19686059
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
斉藤 拓巳 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 助教 (90436543)
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Keywords | 天然有機物質 / 腐植物質 / 鉱物 / 吸着 / 化学種分布 / 放射性廃棄物処分 / 放射性核種 / 電位 |
Research Abstract |
本研究では, 性質の異なる環境構成成分(配位子, 天然コロイド, 表面)が共存する実地下環境を対象として, 放射性廃棄物処分において重要な核種及び3価アクチニドの模擬核種の環境動態を, 化学種分布を直接反映した動的化学種分布評価手法及び多成分系での化学種分布評価モデルの構築を通して解明することを目的としている. 平成20年度においては, ドナンメンブラン法(DMT)およびフィールドフローフラクショネーション等の動的化学種分布評価手法を用いて, 天然有機物質/鉱物系でのウラン(U)および3価アクチニド元素の模擬核種であるユウロピウム(Eu)等の重要核種の化学種分布を幅広い環境条件において評価した. その中で, 低濃度のEuの結合によっても, 天然有機物の凝集が進むという動的なプロセスを発見すると共に, Uが比較的分子量の大きな天然有機物フラクションに優先的に結合することも明らかにした. また, これら核種の化学種分布に対して, 実環境中の重要な競合イオンであるFe(III)が大きな影響を与えることを明らかにした. さらに, 天然有機物質/鉱物共存系での核種結合モデルの構築のために必要となるコロイド-表面間の電荷・電位調節のメカニズムを理解・モデル化するため, 複数の手法によって天然有機物質の電位を測定した. 通常, 天然有機物質のような高分子電解質の電位を直接測定することは不可能であるが, 本研究では, 天然有機物質近傍の電位に敏感なプローブを用いるという工夫を行った. そして, 得られた結果を天然有機物質/鉱物共存系における核種吸着のための熱力学モデルに反映させ, 良好な結果を得ている.
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Research Products
(2 results)