2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19687006
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Research Institution | The Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
山下 敦子 The Institute of Physical and Chemical Research, 分子シグナリング研究チーム, チームリーダー (10321738)
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Keywords | タンパク質 / シグナル伝達 / 神経科学 / 構造生物学 / 感覚受容 |
Research Abstract |
本年度は感覚受容体であるTRPチャネルの機能解析および構造解析を行い、機械刺激を感受したチャネル活性に重要な領域を同定し、その結晶化条件を見いだして、X線結晶構造解析を行った結果、立体構造情報を得た。平成19年度に見いだした安定な細胞内ドメインを持つ真菌由来相同タンパク質について、酵母を用いた発現局在確認および機能解析を行い、当該タンパク質が液胞膜に局在し、浸透圧を感受してカルシウムイオンを透過させるチャネルであることを見いだした。さらに上記の細胞内ドメインを欠失させた変異体の機能解析より、このドメインが浸透圧を感受したチャネル活性に重要な領域であることを見いだした。平成20年度までの取り組みではこのドメインの結晶が得られる条件を見いだすことができなかったため、共同研究によるNMRを用いた構造解析を行った結果、このドメインにランダムコイル領域が多く含まれることを見いだした。そこで、結晶化に用いる試料を浸透圧感受チャネル活性に必要な最小の領域に絞った結果、ロゼッタ状の結晶を得ることに成功し、SPring-8ビームラインにてX線回折強度データ収集を行った結果、2.2A分解能程度の回折強度データを得た。さらに、位相決定のために必要なセレノメチオニン化タンパク質結晶を作成し、単波長異常分散法を用いた構造解析可能な回折強度データを得た。加えて、この領域の中でも特に安定な構造を持つ部分領域についても結晶化を行った結果、棒状結晶を得ることに成功し、得られた結晶より1.4A分解能程度の回折強度データを取得した。さらにセレノメチオニン化タンパク質結晶を作成し、多波長異常分散データを収集して、結晶構造解析を行った結果、当該部分の立体構造を決定することに成功した。
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