2008 Fiscal Year Annual Research Report
人工脂質平面膜を用いた輸送小胞形成のダイナミクス解析
Project/Area Number |
19687008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 健 The University of Tokyo, 大学院・総合文化研究科, 准教授 (00303602)
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Keywords | 小胞体 / 輸送小胞 / 低分子量GTPase / プロテオリポソーム / 出芽酵母 / 1分子計測 |
Research Abstract |
蛍光標識した積み荷タンパク質を1分子観察用の顕微鏡下に形成させた人工脂質平面膜に再構成し、ここにCOPII小胞形成に必要な精製因子を加えることによって積み荷タンパク質の集合状態について解析を行った。これまでの試験管内再構成系による解析から、COPII小胞の形成は大きく分けて、1)Sar1p-GTPの膜への結合とそれに伴う積み荷タンパク質との結合、2)Sar1p-積み荷タンパク質複合体へのSec23/24pの結合に伴うprebudding complexの形成、3)Sec13/31pによるprebudding complexの架橋反応、という3つのサブリアクションから構成されていると考えられている。積み荷タンパク質の蛍光強度の分布と蛍光の褪色の様子から、1)で形成される複合体は膜上でモノマーの状態で存在しているのに対して、2) で形成される複合体中には積み荷タンパク質が2分子含まれていることが明らかとなった。また、蛍光標識したSar1pを用いて解析を行ったところ、prebudding complex中には積み荷蛋白質と同様に2分子のSar1pが含まれていることが明らかとなった。さらに、Sar1p-Sec23/24p複合体の解析を行ったところ、この複合体は膜上で単量体で存在していることが分かり、prebudding complexの二量体化には積み荷タンパク質が必須であることが明らかとなった。3)で行われるSec13/31pによるprebudding complexの架橋反応は、積み荷タンパク質を含んだprebudding complexが膜上で予め二量体化しておくことにより、積み荷タンパク質を含んだprebudding complexのみがSec13/31pによって優先的に架橋されることにより、積み荷タンパク質のCOPII小胞への効率的な取り込みが実現されているというモデルを提唱した。
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