2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19687010
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
星野 大 Kyoto University, 薬学研究科, 准教授 (70304053)
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Keywords | NMR / 分子シャペロン / GroE / 会合・凝集 / 構造生物学 |
Research Abstract |
研究の目的 これまでに3,000を超える蛋白質の立体構造がNMRにより決定されており、蛋白質の立体構造決定法としての溶液NMRの地位は既に確立されたものとなっている。ところが、生体内において重要な役割を果たす蛋白質の中には、NMR測定に必要な高い蛋白質濃度の条件下において、非特異的な会合体を形成してしまうものが少なくない。会合体の形成はNMR測定において致命的であり、それを効率良く取り除く/抑制する手法の開発が強く望まれている。 本申請は、これまでNMRによる構造解析においてしばしば大きな障害となっていた非特異的な会合体の生成を、大腸菌の分子シャペロンであるGroEL/ESにより形成される「カプセル」のな中に標的蛋白質分子を1つずつ閉じ込めることにより物理的に抑制し、NMRによる構造解析を可能にするという、直接的かつ最も効果的な手法の開発を目的とする。 研究実施状況 本年度は、GroEL認識配列を付加したユビキチン(Ubq*)を基質として用いて、GroEL-基質蛋白質-GroES三重複合体が安定に形成される条件の検索を行なった。計画は順調に進行し、SR1変異型GroELに、更にATP加水分解活性を阻害するD398A部位特異的変異を導入することにより、ATP加水分解活性が低下するとともに三重複合体が大幅に安定化されることを見いだした。さらに条件を最適化することにより、ゲルろ過クロマトグラフィーを用いて同三重複合体を単離することに成功した。同条件を用いることにより、分子シャペロン内部に基質蛋白質を隔離したまま高分解能NMR測定を行うことが可能であると期待される。
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