2007 Fiscal Year Annual Research Report
細胞内情報伝達をファインチューンする蛋白質リン酸化酵素NLKの機能と制御の解明
Project/Area Number |
19687013
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石谷 太 Kyushu University, 生体防御医学研究所, 特任准教授 (40448428)
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Keywords | NGFシグナル / Notch シグナル / NLK / ゼブラフィッシュ |
Research Abstract |
Nemo-like kinaseは種を超えて保存されたタンパク質リン酸化酵素である。私たちはこれまでに、NLKが様々な細胞内情報伝達経路の転写因子をリン酸化してその活性を変化させることにより、情報伝達をファインチューンする機能をもつことを明らかにしてきた。しかし、これらのリン酸化の個体における生理学的意義はあまり明らかになっていない。本研究では、脊椎動物における、「NLK及びNLKによってファインチューンされる情報伝達経路群の機能と意義」、「NLKの活性制御機構」を分子レベルから個体レベルまで総合的に理解することを目標とする。 本年度は、NLKがNotchという転写活性化因子をリン酸化すること、リン酸化されたNotchはその共役因子であるMAMとの結合能を失い、転写活性可能を失うこと、NLKによるNotchリン酸化は神経発生を促進することを見いだした。そして、これについて論文投稿の準備を行っている。 また、NLKが神経成長因子Nerve Growth Factor(NGF)によって活性化されて微小管結合蛋白質microtubule-associated protein 1B(MAP1B)をリン酸化すること、このNGF-NLK-MAP1B経路が運動神経の軸索伸長において必須の役割を果たすことを見いだした。そして、この成果を現在論文投稿中である。神経形成の新たな分子機構を明らかにした本成果は、将来的な神経系の再生医療に貢献する可能性があると考えられる。
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