2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19687015
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
井上 直和 Osaka University, 微生物病研究所, 助教 (50379096)
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Keywords | 受精 / 精子 / 卵子 / 遺伝子改変動物 / 膜融合 |
Research Abstract |
受精の融合機構については卵子上の融合因子としてCD9が最近報告されたのみで精子側の必須因子は同定されていなかった。申請者のこれまでの成果として、融合を特異的に阻害するモノクローナル抗体を用いて、世界で始めて精子側の融合因子Izumoを発見した(Nature,Inoue N, et. Al.,2005)。Izumoノックアウト精子は融合の準備段階である先体反応まで正常に進行するが、その後の卵子との融合が完全に阻害される。さらに融合を顕微授精法でバイパスすると正常に発生することから、Izumoはまさに精子と卵子の融合にだけ機能する世界で始めて発見された精子側の融合因子であった。 平成19年度は、Izumo の免疫グロブリン内の種間で高度に保存されたN結合型糖鎖の役割を調べるために、204番目のアスパラギンをグルタミンに変異させたタンパク質を精巣特異的に発現するトランスジェニックマウスを作製した。Izumo ノックアウトバックグランドのこれら雄のトランスジェニックマウスは妊孕性、融合能が野性型に比べ約30%に減少するものの保持されていた。これら精子のウエスタンブロット解析の結果、Izumo が分解されていることからN結合型糖鎖は直接融合能に寄与するのではなく、Izumo の安定性に寄与していることが分かった。体外受精で阻害効果をもつ免疫グロブリンドメインよりも上流の機能ドメインについては、構造解析の結果、αヘリックスからなることを明らかにした。免疫沈降法、His-tag pull down法を用いて、精子、卵子上でIzumoと相互作用するタンパク質を数種類同定することに成功したので、これら分子のノックアウトマウスを作製するとともに、できあがったマウスは受精能について順次解析中である。
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