2007 Fiscal Year Annual Research Report
果実成熟におけるエチレン合成系遺伝子の転写調節機構の解明
Project/Area Number |
19688003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
牛島 幸一郎 Okayama University, 大学院・自然科学研究科, 助教 (20379720)
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Keywords | クライマクテリック型果実 / エチレン / ホルモン / 転写因子 / プロモーター / エチレン信号伝達系 |
Research Abstract |
メロンは一般にはエチレンによって成熟か誘導されるクライマクテリック型果実に分類される。しかし、実際には様々な成熟様相を示す品種が属しており、成熟の遺伝的プログラムは非常に多様であると言える。代表者はこれまでにメロン品種'ハネデュ'は、エチレンは感受できるが合成できない変異が起きており、それはEIN3より下流のエチレン信号伝達系の一部に変異があるためであると言うことを明らかにしてきた。平成19年度は、'ハネデュ'果実における転写制御因子の解析と、ゲルシフトアッセイ、また、ACO遺伝子のゲノムクローンを単離、解析を行った。 ○転写制御因子の解析 GeneBankやメロンESTデータベースに登録されている転写制御因子についてプライマーを作成し、リアルタイムPCRに供試した。典型的なクライマクテリック型果実の成熟様相を示す品種とハネデュの間で、発現パターンを比較したところ、10程度の遣伝子で異なる発現パターンを示すものが存在した。その内、数個の遣伝子についてはトマトなどのESTにも高い相同性を示すものが存在した。これらの遺伝子については、形質転換実験の容易なトマトにおいて解析を行う予定である。 ○ゲルシフトアッセイ ACO1遺伝子については既知のプロモター配列が1kbp程度あったので、それらについてプローブを作成して、ゲルシフトに供試した。'ハネデュ'や他の品種から核タンパク質を単離しプローブと結合(シフト)するか否かを調べたが、少なくとも解析した領域には、cis-elementの候補になりそうな配列は存在しなかった。これに関しては、後述のゲノム配列をさらに解析に用いる予定である。 AC01遺伝子ゲノムクローンの単離 'ハネデュ'ではエチレン合成遣伝子のうちACS1.AC01ともに発現が大幅に減少している。2つの遺伝子のうち、AC01は非常に発現量が多く解析に適していると考えられる。しかし、少なくともゲルシフトアッセイの解析の結果、解析を行った範囲にはcis-elementの候補になりそうな遺伝子は存在しない。そこで、メロンのフォスミドライブラリーを作成し、AC01遺伝子を含むゲノム断片をクローニングした。10kp程度の範囲をショットガンシークエンスで解析したが、現在のところ既知のエチレン関連のcis-elementと相同性のある配列は見つかっておらず、未知の制御系によって転写のコントロールを受けているものと考えられる。
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