2007 Fiscal Year Annual Research Report
宿主昆虫ゲノムから獲得したバキュロウイルス遺伝子の特異的機能に関する研究
Project/Area Number |
19688004
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
勝間 進 The University of Tokyo, 農学生命科学研究科, 准教授 (20378863)
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Keywords | バキュロウイルス / カイコ / 宿主制御 / キチナーゼ / カテプシン / 繊維芽細胞成長因子 / 遺伝子の水平移働 / ウイルス誘導性行動異常 |
Research Abstract |
バキュロウイルスがコードする宿主ホモログとそれに対応する宿主遺伝子に難して、今年度は以下の成果を得ることができた。 1.最新のカイコゲノム情報を用いて、カイコに感染するバキュロウイルスであるカイコ核多角体病ウイルスの遺伝子産物と相同性のあるカイコ遺伝子を探索した。その結果、15個の遺伝子が、カイコ遺伝子と相同性があることが判明した。それらの機能解析を行うため、この15個の遺伝子を個々に欠損したウイルスを相同組み換えにより作成したところ、9個の遺伝子がウイルスの増殖には必要ではない遺伝子であることがわかった。しかしながら、これらの遺伝子はカイコにおける病原性と関連することが判明し、宿主ホモログによる宿主制御機構の一端が明らかになった。また、他の37種のバキュロウイルスにコードされている宿主ホモログも同定した。これらの結果から、バキュロウイルスは多様な遺伝子群をその宿主に対応して獲得しており、それらは宿主-ウイルス間の特異的な関係、すなわち宿主特異性に夫きくかかわっている可能性が示唆された。本成果は現在論文投稿中である。 2.バキュロウイルスが持つ宿主ホモログの一つ繊維芽細胞成長因子(FGF)の感染細胞におけるシグナル伝達系を解明するため、哺乳類においてFGFシグナルの下流にあるとしられるMAPキナーゼカスケードの関与について検討した。特異的阻害剤を用いた研究により、バキュロウイルス感染において、MAPキナーゼシグナルは、重要な働きをしていることを明らかにした。しかしながら、fgf欠損ウイルスにおいてもMAPキナーゼの活性化がみられたことから、FGFシグナルは、おもにMAPキナーゼを介さない可能性が考えられた(Katsuma, et. al., Journal of Virology, 2007)。
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Research Products
(5 results)