2007 Fiscal Year Annual Research Report
霊芝の性ホルモン疾患改善効果に着目した多機能性生理活性発現機構解析
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19688009
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 邦義 Kyushu University, 農学研究所, 助教 (20346836)
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Keywords | マンネンタケ / 霊芝 / キノコ / 前立腺肥大症 / 骨粗鬆症 / トリテルペノイド / ganodero1B / ganoderic acid DM |
Research Abstract |
霊芝の新たな機能として、見出した前立腺肥大症ならびに骨粗鬆症の予防改善効果の分子機構について、研究を進展させた。 前立腺肥大症改善効果の分子機構に関する研究については、特に、霊芝に含有するトリテルペノイドを単離・同定し、それらの構造と5α-リダクターゼ、アンドロゲン受容体結合活性ならびに前立腺ガン細胞に対する影響について検討した。構造一活性相関についても検討し、霊芝トリテルペノイドの側鎖のカルボキシル基が5α-リダクターゼ阻害活性に大きく関与していることを明らかにした。しかしながら、アンドロゲン受容体の結合活性については、側鎖がアルコール体であるganoderol Bが高い活性を示し、前立腺ガン細胞への添加により、PSA(前立腺特異抗原)ならびにアンドロゲン受容体の発現を抑制し、去勢ラットによる動物実験にて、前立腺の肥大を抑制することを明らかにした。さらに、数種のトリテルペノイドに成功し、それらの前立腺ガン細胞への影響の検討を引き続き進めている。 骨粗鬆症の予防改善効果の分子機構については、破骨細胞の分化抑制活性を指標に、含有トリテルペノイドの効果を検討した。その結果、ganoderic acid DMが最も高い破骨細胞の分化抑制活性を示した。さらに、その分化抑制活性の分子機構を検討したところ、LANKLにより誘導される分化シグナルの下流の遺伝子であるTRAPならびにCathepsin Kの発現を抑制していることを確認した。さらに、破骨細胞分化のマスター転写因子であるNFATc1の合成を抑制していることが確認された。しかしながら、興味深いことに、NFATc1の発現は、mRNAレベルでは、抑制しておらず、翻訳レベルでの選択的な未知の阻害機構を有していることが示唆された。加えて、ganoderic acid DMは、破骨細胞の分化の過程での多核化に至る細胞融合の過程においても、細胞融合に重要な役割を果たしている受容体であるDC-STAMP(dendritic cell-specific transmembrane protein)の発現も抑制することが見出された。このように、霊芝抽出物の骨粗鬆症予防改善効果のメカニズムの一端を、ganoderic acid DMを鍵化合物として解明することに成功した。現在、さらに、構造の類似した一連のトリテルペノイドを用いたメカニズム解析研究を進展させている。
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