2009 Fiscal Year Annual Research Report
霊芝の性ホルモン疾患改善効果に着目した多機能性生理活性発現機構解析
Project/Area Number |
19688009
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
清水 邦義 Kyushu University, 大学院・農学研究院, 助教 (20346836)
|
Keywords | マンネンタケ / 霊芝 / キノコ / 前立腺肥大症 / 骨粗鬆症 / トリテルペノイド / 破骨細胞 / ganoderic acid DM |
Research Abstract |
霊芝の前立腺肥大症抑制効果を、動物実験のみならず、臨床試験でも検証した。霊芝抽出物が、排尿障害改善作用を有することが確認された。さらに、卵巣摘出ラットを用いた動物実験において、霊芝の抽出物は、骨密度低下抑制効果を示した。そのメカニズムとして、破骨細胞の分化抑制効果が考えられた。一連の検討により前立腺肥大症並びに骨粗鬆症改善効果を有するトリテルペノイドとしてganoderic acid DMが見いだされた。そこで、ganoderic acid DMのどの構造が活性発現に関与するかを、検討するために、3位をアルコールに還元した化合物で検討したところ、前立腺ガン細胞増殖抑制効果も、破骨細胞分化抑制活性も大幅に低下した。このことから、ganoderic acid DMの活性発現構造は、側鎖の構造ではなく、酸素置換等された環構造が活性発現に重要であることが示唆された。一体、どのようなメカニズムが、ganoderic acid DMの活性発現に関与しているのであろうか。構造活性相関知見を元に、側鎖のカルボキシル基をリンカーとして、ナノ磁性ビーズに結合させた、プローブを調製した。本プローブを用いて前立腺ガン細胞のホモジネートを、さらに、細胞質、細胞膜、細胞核に分画した。それらの画分とナノビーズ結合ganoderic acid DMをインキュベートし、特異的に結合するタンパク質を探索した。その結果、唯一、細胞質画分に存在するタンパク質と特異的に結合することが判明した。本タンパク質を電気泳動分離し、LC-MS-MS分析により、同定を試みたところ、β-チューブリンであることが判明した。したがって、ganoderic acid DMは、チューブリンに結合して重合を阻害し微小管の形成を妨げ、細胞分裂を阻害することにより、前立腺ガン細胞の細胞増殖を抑制していることを示唆された。本メカニズムが、破骨細胞分化抑制や前立腺肥大症とどのように関連していくかは、今後の課題である。
|