2008 Fiscal Year Annual Research Report
植生キャノピーの生理・生態・光学特性に関する統合モデルと衛星観測
Project/Area Number |
19688012
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
奈佐原 顕郎 University of Tsukuba, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (40312813)
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Keywords | 植生 / 植物生理 / 植物生態 / 衛星リモートセンシング / 近接リモートセンシング / 森林 / 水田 / 中間赤外分光 |
Research Abstract |
岐阜大学高山試験地(森林)と、農業環境技術研究所真瀬水田試験地、筑波大学菅平高原実験センター(草原)、筑波大学陸域環境研究センター(草原)のそれぞれで、植生キャノピー(樹冠)の構造と生理に関する定期観測を実施した。このうち、岐阜大学高山試験地(森林)では、樹冠構造(葉の量・葉の傾き・葉の色素量など)の季節変化に関する直接観測データを得た。それによって、複数の樹種が混在する森林における、キャノピー反射スペクトルを数値モデルで再現することができた。スペクトルも植生指標も、年間を通じて、回転型分光放射計による実測データとよく整合した。従来のような単一樹種による近似がもたらす系統誤差も評価することができた。このモデルは、当初の計画のとおり、キャノピー光合成量も再現できた。それによって、年間の各時期において、どの樹種が最もキャノピー光合成量に寄与しているかが定量的に明かになった。また、岐阜大学高山試験地(森林)と、農業環境技術研究所真瀬水田試験地では、野外据え付け型の中間赤外分光放射計(英弘精機MS712)による観測を継続した。その結果、当初の予定どおり、世界でほとんど前例のない、植生樹冠に関する連続時系列中間赤外分光測定が通年で実施された。その結果、中間赤外を用いた植生指標は、可視近赤外を用いた植生指標より、ノイズに対して予想以上に頑健であり、人工衛星データと地上観測値の対応も良好であることがわかった。一方、従来使われてきた植生指標には、大気ノイズに対して脆弱であったり、積雪などの状況変化に追随してしまうという欠点があることがわかった。これらの結果を踏まえて、過去10年間の、日本を含む極東アジアの森林の季節変化を人工衛星で推定した。
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Research Products
(4 results)