2007 Fiscal Year Annual Research Report
猟区制度は次世代型野生動物管理の有効なシステムとなりうるか?
Project/Area Number |
19688013
|
Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 友紀子 Hokkaido University, 大学院・獣医学研究科, 客員研究員 (60374245)
|
Keywords | 野生動物 / 猟区制度 / 保護管理システム / 繁殖生理・生態 / 電波発信器 / エゾシカ |
Research Abstract |
猟区制度の評価を行うため、初年度は西興部村猟区におけるエゾシカの個体群生態学的基礎情報の収集を中心に行った。今後データの解析を行うことで、本猟区におけるエゾシカの生態学的特徴が明らかになると期待される。 1.補殺個体データ;今猟期に捕獲された102頭すべての個体からデータ(性齢・体サイズ・繁殖状況)を収集した。妊娠判定が困難である、発情周期中〜妊娠初期の個体に関しては、卵巣の観察及び血中のプロジェステロン濃度を測定することで、妊娠の有無を推定することができた。年齢査定用に切歯も採取しており、猟区個体群の齢構成も今後明らかにしていく。 2.生息数推定法の検討;春と秋にライトセンサスを行い、総個体数・群サイズ・群構成を記録した。また、猟期にはCPUE(単位努力量当たりの捕獲数)等の評価指数も記録している。電波発信機装着個体を増やした後は、マークリサイト法も取り入れる予定である。 3.膣テレメ装着試験;膣テレメ装着中および脱落後の電波感度試験を行い、首輪型テレメとの併用により野生下での応用が可能と考えられた。また、飼育個体に10日間程度装着しシカへの影響を検討した結果、シカの行動を妨げることも膣内の負傷も見られなかった。現在も飼育個体・野生個体に装着しており、出産時までモニタリングを続ける予定である。これは日本で初めての試みである。 4.成獣の生体捕獲および電波発信機装着;2月下旬から餌付を開始し、3月上旬から生体捕獲を試み、現在2頭に発信器を装着しモニタリングを続けている。今年は例年に比べ積雪量が極端に少なく、山に食べ物が十分にあるため捕獲に不可欠な餌付が出来ず、冬期の捕獲が困難であった。今後もアルパインキャプチャー罠等、他の手法も取り入れ捕獲を続ける予定である。
|