2008 Fiscal Year Annual Research Report
猟区制度は次世代型野生動物管理の有効なシステムとなりうるか?
Project/Area Number |
19688013
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
松浦 友紀子 Hokkaido University, 北方生物圏フィールド科学センター, 研究員 (60374245)
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Keywords | 野生動物 / 猟区制度 / 保護管理システム / 繁殖生理・生態 / 電波発信器 / エゾシカ / 狩猟 |
Research Abstract |
初年度同様、西興部村猟区においてエゾシカの個体群生態学的基礎情報の収集、分析を進めている。最終年度にはこれをもとにして、猟区における個体数管理指針を提示する予定である。 1、補殺個体データ ; 今猟期に捕獲された147頭すべての個体からデータ(性齢・体サイズ・繁殖状況)を収集し、昨年度と合わせて249頭となった。歯の萌出交換法と年輪法の組み合わせにより、現段階で170頭の年齢が明らかになり(最高齢16歳)、猟区個体群の齢構成が明らかになりつつある。 2、生息数推定法の検討 ; 年2回のライトセンサスおよび猟期中のSPUE・CPUEのモニタリングを行った。今後は補殺個体の齢構成を用い、コホート解析による生息数復元を行う予定である。 3、生体捕獲および電波発信器装着 ; 08年4-5月に5頭の野生個体♀を捕獲し、電波発信器による行動圏・季節移動調査を継続している。道東地域と異なり、本猟区のシカの季節移動規模は小さいことが明らかになってきた。また、夏から秋にかけて48時間連続モニタリングを行い、農地利用状況を精査した。3月から餌付けを開始し、09年度の捕獲に備えている。 4、膣テレメ装着 ; 野生個体3頭と飼育個体4頭に膣テレメを装着した(国内初の試み)。飼育個体の観察から、出産直前に膣テレメが脱落することを確認した。また、野生個体でも出産期にあたる6月に膣テレメの脱落を確認し、回収した。脱落地点には出産の痕跡らしき跡が残っており、野生個体においても出産の検知が可能であると考えられた。ただし、新生子の発見には至らなかった。初期死亡率を明らかにするため、2009年に再度新生子の捕獲を試みる。
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