2007 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠誘発物質PGD2による新たな血管恒常性維持機構の解明
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19688014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 幸久 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (40422365)
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Keywords | プロスタグランジン / 血管 / 血管透過性 / 腫瘍 |
Research Abstract |
本研究は"睡眠誘発物質PGD2の血管に対する新規生理作用と意義を明らかにする"ことを目的とする。平成19年度はPGD2の血管への直接作用とDP受容体作動薬の癌治療応用について集中的に検討を進めた。以下に各項目の研究結果について記載する。 (1)ヒト、ウシ、ラット、マウス由来の細胞や組織を用い、血管平滑筋や内皮における各PGD2合成酵素や受容体の発現をmRNA発現レベルとタンパク質発現レベルで確認した。 (2)PGD2受容体であるDP受容体刺激が血管や筋繊維芽細胞を僅かに弛緩させ、CRTH2受容体刺激がこれらを収縮させることを確認した。単離平滑筋や内皮細胞を用いてa ; 細胞増殖、b ; 遊走、c ; 透過性、d ; 血管腔形成に対するPGD2受容体刺激の影響を検討し、DP受容体刺激が内皮の透過性を強く抑制することを明らかにした。さらにこの反応が内皮細胞内のcAMP濃度上昇を伴う反応であることを確認した。 (3)細胞レベルで観察されたDP受容体刺激による血管透過性抑制効果を、マウスの耳とマウス胸膜下に投与し形成させた腫瘍(LLC)においても確認した。 (4)野生型(WT)、PGD2合成酵素、受容体KOマウスおける腫瘍(LLC)成長をそのサイズと病理学的手法を用いて観察し、PGD2が固形腫瘍における内因性の血管透過性抑制物質であることを明らかにした。
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