2008 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠誘発物質PGD2による新たな血管恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
19688014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 幸久 The University of Tokyo, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (40422365)
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Keywords | プロスタグランジン / 血管 / 血管透過性 / 腫瘍 |
Research Abstract |
本研究は"睡眠誘発物質PGD2の血管に対する新規生理作用と意義を明らかにする"ことを目的とする。平成20年度は"PGD2の血管周皮と単球マクロファージへの作用"と"DP受容体作動薬の癌治療応用"について検討を進めた。以下に各項目の研究結果について記載する。 (1)肝臓障害時に産生上昇が確認されるPGD2が肝臓内血管の周皮細胞である肝臓筋繊維芽細胞に対してトロンボキサンA2受容体(TP)を介した収縮作用をもつこと。そして同じプロスタノイドであるPGE2が肝臓筋繊維芽細胞に対して、PGE2受容体(EP3)とPGF2α受容体(FP)を介して収縮を引き起こすことを明らかにした。 (2)マクロファージは組織炎症時に遊走して、周囲血管の機能調節に重要な役割をはたしている。菌体成分リポポリサッカライドでマクロファージを刺激すると、PGD2やPGE2が産生されてマクロファージのPGD2受容体CRTH2やPGE2受容体(EP4)を刺激し遊走能を上昇させることを明らかにした。 (3)PGD2が固形腫瘍における内因性の血管透過性抑制物質であることを発見した。さらにその受容体DPの刺激は、腫瘍内血管透過性や血管新生を抑制して抗腫瘍効果を発揮することを発見した。 これらの結果は以下の4つの論文にまとめ発表した。
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