2009 Fiscal Year Annual Research Report
睡眠誘発物質PGD2による新たな血管恒常性維持機構の解明
Project/Area Number |
19688014
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
村田 幸久 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (40422365)
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Keywords | プロスタグランジン / 血管透過性 / 血管新生 / 肥満細胞 / 腫瘍 |
Research Abstract |
本研究は"睡眠誘発物質PGD2の血管に対する新規生理作用と意義を明らかにする"ことを目的とする。最終年度である平成21年度はPGD2合成酵素が腫瘍成長に及ぼす影響とその機構について評価を進めた。 以下に各項目の研究結果について記載する。 1.マウスに移植した腫瘍において、浸潤した肥満細胞がPGD2合成酵素を強く発現していることを免疫染色により明らかにした。 2.肥満細胞特異的なPGD2合成酵素欠損と、PGD2合成酵素とTNFαのダブル欠損マウスを作成して用いることにより、肥満細胞由来のPGD2が、肥満細胞自身のTNFα産生能を抑えることで腫瘍の血管透過性と新生、さらには成長を強く抑制していることを明らかにした。 3.PGD2が肥満細胞自身の性状に与える影響を検討した結果。PGD2合成酵素の欠損は肥満細胞の成熟化を早め、TNFα産生能力を上昇させていることを明らかにした。 4.産生されたPGD2は血管内皮細胞内のcAMP濃度を上昇させ、その下流シグナルであるEpacやRacといった分子を活性化させることで透過性を抑制していることを明らかにした。 これらの結果をまとめ、現在論文を投稿している。
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