2008 Fiscal Year Annual Research Report
組織特異的発現に関わるde novo DNAメチル化機構の網羅的解析
Project/Area Number |
19688017
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
柴 博史 Nara Institute of Science and Technology, バイオサイエンス研究科, 助教 (20294283)
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Keywords | エピジェネティクス / DNAメチル化 / 器官特異的 / ゲノムタイリングアレイ |
Research Abstract |
エピジェネティックな遺伝子発現制御は、生物の発生や分化、発癌などに関わっていることが示されており、ポストゲノム研究の重要な位置を占めている。植物でも花器官の形成等でゲノムDNAのメチル化やヒストンアセチル化といったゲノムの構造変化を伴う事象がいくつか観察されているが、どれくらいの遺伝子が影響を受けているのか不明である。本研究では、シロイヌナズナゲノムタイリングアレイを使って発生、分化に関わるDNAメチル化を網羅的かつ包括的に解析することで、植物におけるDNAメチル化の役割・機構を明らかにする。平成20年度は、19年度に得た器官別のメチロームおよびトランスクリプトームデータを詳細に比較、解析した。その結果、花序、成葉、根でそれぞれ1280、607、500個の器官特異的あるいは特定の器官で有為にメチル化レベルが高い遺伝子を見出した。中でも最も器官特異的なメチル化が見られた花序の遺伝子の内訳を見ると、様々な転写因子や、ストレス応答、様々な環境応答に関わる因子、発生、分化に関わる因子等が1/4程度占めていた。また花序で特異的なメチル化が見られた1280遺伝子に関してメチル化部位を調べてみると、その70%以上が遺伝子領域に存在しており(BODYメチル化)、遺伝子プロモーター領域にメチル化が存在するのは20%程度であった。さらに上記花序特異的あるいは花序で有為にメチル化レベルが高い遺伝子と花序で発現する遺伝子で野生型とDNAメチル化酵素変異株間で遺伝子発現に違いが見られたものを比較したところ、30-40%程度のメチル化が見られた遺伝子でDNAメチル化に連動して遺伝子発現の変動が見られた。またその多くは、BODYメチル化によって遺伝子発現上昇が見られていた。
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Research Products
(6 results)