2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19689002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 健一 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60346806)
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Keywords | アミロイド / フリーラジカル / 磁気共鳴 / ニトロキシルラジカル |
Research Abstract |
アミロイド蛋白(Aβ)の神経毒性発現のメカニズムのひとつとして、フリーラジカルペプチドによる脂質過酸化や、Aβ凝集過程での過酸化水素の生成、抗酸化剤によるAβ凝集抑制性作用などが報告され、活性酸素やフリーラジカルの関与が示唆されている。そこで本研究では、Aβ毒性発現と酸化ストレスの関与を明らかにするためにAβ認識化合物の開発とその評価を行うことを目的とした。本年度は、昨年度開発したニトロキシルラジカルの新たな合成法、ならびにBTA-PROXYLateを用いて物性評価ならびに細胞実験を行った。 化合物は、Aβ凝集抑制能を電子顕微鏡で、またAβとの結合能をX-band ESRで評価した。BTA-PROXLateをAβと同時に添加したところ、その後のAβ凝集を有意に抑制することがわかった。さらに、BTA-PROXYLateがAβ認識能を持つことをX-band ESRにても確認した。一方、PC-12細胞をAβ(25-35)にて処理後、BTA-PROXYLateを添加しX-band ESR測定を行った。その結果、carboxy-TEMPOではAβ処置群でも対照群と比較して変化がないのに対し、BTA-PROXYLate添加群ではAβ処置によりシグナル消失速度が有意に亢進することがわかった。 一方で、本化合物は水溶性が低い点が問題点としてあげられる。そこで我々は、ニトロキシルラジカル部分の水溶性を上げる為に、2,6位にスルフィド基を導入した新たなニトロキシルラジカルを合成した。その結果、これまでのものと比較し水溶性が10倍程度上昇することがわかった。以上の結果より、本化合物は、Aβを認識し凝集抑制作用を有すること、さらに細胞レベルでの反応を追跡できる可能性を示した。
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