2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19689002
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山田 健一 Kyushu University, 大学院・薬学研究院, 准教授 (60346806)
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Keywords | アミロイド / フリーラジカル / 磁気共鳴 / ニトロキシルラジカル |
Research Abstract |
Aβは、βシート構造に富んだ凝集塊を形成し、その種類によって神経細胞毒性が異なること、また形成過程に、過酸化水素やAβペプチドラジカルなどが生成し、凝集や毒性を促進することが報告されている。したがって、Aβ周囲のレドックス動態を捉えることができれば、凝集、毒性発現の機構を解明できると考えられる。 本年度は、Aβ近傍のレドックス動態、及びニトロキシルラジカルと凝集塊の相互作用を鋭敏に検出することを目的とし、ピペリジン系ニトロキシルラジカルの2位にAβ結合構造を導入することを試みた。さらに、合成した化合物のAβ結合能、凝集抑制能を検討し、Aβ凝集過程におけるレドックス動態、及び凝集状態を評価した。 Aβ結合能は、いずれの化合物でも濃度依存的に結合量が増加した。さらに、興味深いことに、凝集塊と結合するとESRスペクトルが異方性を示した。さらに、シミュレーションの結果から、これは複数のスペクトル成分の重ね合わせであり、同一化合物が異なる環境場に存在することが示唆された。そして、経時的な測定によりその成分比が変化することがわかった。 一方、これらの化合物は、Aβの凝集を有意に抑制し、今回新たに合成したニトロキシルラジカルは、Aβ結合能と抗酸化作用の両方が併せ持つことがわかった。 また、ニトロキシルラジカルは、磁気共鳴法を用いて脳機能を鋭敏にとらえることができ、特に、ミトコンドリアでの機能異常と関連性があることを明らかにした。今後、さらに研究を進めることによって、生体におけるレドックス動態やAβ凝集状態をより詳細に解析できると考えている。
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