2008 Fiscal Year Annual Research Report
樹状細胞指向性ナノ粒子・物理刺激併用による高効率遺伝子導入システム構築と癌治療
Project/Area Number |
19689005
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
川上 茂 Kyoto University, 薬学研究科, 助教 (20322307)
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Keywords | 医療・福祉 / 免疫学 / 癌 / 遺伝子 / DDS |
Research Abstract |
既に、マンノース修飾リポプレックスおよびバブルリポソームの静脈内併用投与後に体外からの超音波照射を行うことで、in vivoにおいてマクロフナージや樹状細胞への細胞選択的な遺伝子導入の大幅な改善に成功した。そこで本年度は、簡便かつ安定な細胞選択的遺伝子導入を目的に、PEG末端にマンノース残基を結合した新規マンノース修飾ポリエチレングリコール(PEG)脂質(Man-PEG-DSPE)を合成し、それを用いてマンノース修飾バブルリポプレックス(Man-PEG-BL)を調製して、Man-PEG-BLと体外からの超音波照射による遺伝子導入特性の評価を行った。実験方法としては、調製したマンノース結合PEG修飾リボソームにperfluoropropane gasを封入し、pCMV-Lucを用いてMan-PEG-BLを調製した。Man-PEG-BLと超音波照射により、マウス腹腔マクロファージ初代培養系での遺伝子導入を評価した。また、マウスへのMan-PEG-BL静脈内投与及び超音波照射により各臓器での遺伝子導入ならびに肝非実質細胞及び脾樹状細胞内での細胞選択的遺伝子導入特性を評価した。その結果、静脈内投与後、Man-PEG-BLと超音波照射により、Man-PEG-BL単独投与時と比較し、肝臓及び脾臓において約300倍高い遺伝子発現が認められたが、肺、腎臓、心臓での遺伝子発現に変化は認められなかった。また、マンノースレセプターを発現する肝非実質細胞及び脾樹状細胞において細胞選択的な遺伝子導入効率の改善が認められた。さらに、OVAをコードする遺伝子を用いたところ、OVA特異的な細胞障害性T細胞誘導効果が認められた。今後は、Man-PEG-BLと超音波照射による癌免疫治療法の開発を行っていく予定である。
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