2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19689007
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
篠原 美都 京都大学, 医学研究科, 助教 (10372591)
|
Keywords | 遺伝学 / 発生・分化 / 幹細胞 |
Research Abstract |
研究代表者らはマウスの精子幹細胞の長期培養系を独自に確立し、これをGermline Stem (GS)細胞と命名した。この細胞の特徴は非常な長期にわたり安定的に増殖することであり、その間増殖速度や幹細胞としての活性、インプリンティングや核型などに全く変化を示さず正常な子孫を作った。本研究の目的は幹細胞の安定した自己複製機構がどのようなメカニズムで成り立っているのか、そしてその破綻がどのように起こるのかを精子幹細胞を使って明らかにすることである。本年度の研究では、精子幹細胞の増殖速度の制御に関わると考えられる分子(特にCDK-inhibitorなど)について、細胞の培養期間との相関を調べた。短期間培養のもの(5ヶ月)と長期間培養のもの(60ヶ月)のGS細胞についてRT-PCRにてTaf4b, Ret, Neurogenin3, Pou5f1, Zbtb16など精原細胞のマーカーの発現を調べたが、差異は無かった。一方、CDK-inhibitorのp16, p19, p21, p27についてquantitative PCR法により遺伝子発現を調べたところ、p27の発現が長期培養にて低下することが分かった。そこでp21ノックアウトマウスおよびp27ノックアウトマウスをICRにBackcrossした後、ホモ個体の精巣からGS細胞を樹立した。これらの細胞はflow cytometoryによりITGA6やITGB1, CD9, EPCAMなど、精原細胞マーカーの発現に変化は認められなかったが、幹細胞活性に差異があるのではないかと考え、現在これらの細胞の試験管内での増殖速度の差異を調べるほか、精巣内に移植を行い、分化度やコロニー形成率を調べている。
|