2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19689008
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 和利 Kyoto University, 物質-細胞統合システム拠点, 特定拠点助教 (80432326)
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Keywords | 再プログラム化 / ES細胞 / iPS細胞 |
Research Abstract |
2006年、我々はマウス線維芽細胞に既知因子(Oct3/4,Sox2,Klf4,c-Myc)を導入することで、核の初期化を誘導し多能性細胞を作製することに成功した。この人工的に誘導した多能性幹細胞をinduced Pluripotent Stem cell(iPS細胞)と命名した。本研究課題の目的は、ヒト細胞からiPS細胞を作製することである。 高効率かつ安全性の高い遺伝子導入を実現するために、ヒト線維芽細胞に対してマウスエコトロピックウイルス受容体であるSlc7a1遺伝子をレンチウイルスで導入した。この細胞を用いてレトロウイルスにより、OCT3/4,SOX2,KLF4およびc-MYC遺伝子を導入した。その結果、25日後にはES細胞様のコロニーが確認できた。この細胞を単離し培養を継続したところ、ヒトES細胞に類似した形態および増殖能を示した。またこれらの細胞はヒトES細胞の指標である細胞表面抗原(SSEAs,TRAs)および遺伝子群(NANOG,REX1など)を発現していた。マイクロアレイによる解析結果から全体的な遺伝子発現もES細胞に告示していたことから、我々はこの細胞をヒトiPS細胞であると考え、分化多能性の検討を行った。 ヒトiPS細胞は培養条件下において、三胚葉系全てに分化しうることが分かった。また、ヒトES細胞を用いた研究で確立された手法を用いて、ドーパミン産生ニューロンや心筋細胞に分化誘導させることにも成功した。さらに奇形腫形成による生体内分化誘導においても、神経、軟骨、腸管様構造といった三胚葉系全ての細胞に分化していることが明らかとなった。 現時点でヒトips細胞は胎児、新生児、36歳の女性、69歳の男性から樹立に成功している。更なる検討の必要はあるが、これらの結果は性別、年齢に関係なくiPS細胞が樹立しうることを示唆している。
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Research Products
(8 results)