2007 Fiscal Year Annual Research Report
肺気道リモデリングにおけるメカニカルストレスの役割
Project/Area Number |
19689017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 理 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 特任助教 (60378073)
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Keywords | メカニカルストレス / 気道平滑筋 / 気管支喘息 / メカノトランスダクション / カルシウムイオン / メンソール / 呼吸生理 / エンドセリン |
Research Abstract |
肺・気道リモデリングの病態形成に対するメカニカルストレスの役割を検討した。 培養ヒト気道平滑筋細胞を用いた実験で、メカニカルストレッチにより細胞内Ca^<2+>濃度を増加させることを見出した。このCa^<2+>濃度上昇反応は細胞外Ca^<2+>除去によって消失すること、ストレッチ活性型Ca^<2+>チャネル阻害剤Ca^<3+>によって抑制される一方で、L型Ca^<2+>チャネル阻害剤nifedipineでは抑制されないことを見出した。以上の知見から、従来報告されているL型Ca^<2+>チャネルとは異なる、新たなCa^<2+>流入経路であるストレッチ活性型Ca^<2+>流入チャネルがヒト気道平滑筋細胞に存在する可能性が示唆された。 更に、モルモット気道平滑筋組織を用いた実験で、寒冷受容体刺激薬として知られるL-メンソールは、メサコリン刺激、高濃度K^+溶液による脱分極刺激によって引き起こされる気道平滑筋収縮に対する抑制効果を有することを見出した。別の寒冷受容体刺激薬icilinも同様の効果を示した。L-メンソールの効果は神経領域では寒冷受容体として同定されているTRPM8チャネル非依存性であり、おそらく非特異的にCa^<2+>流入経路を抑制しているものと推測された。 以上の知見から、気道平滑筋細胞は機械的ストレッチ、寒冷受容体など様々なメカニカル環境によって影響を受け、細胞内シグナルの活性化を介してサイトカイン産生など気道炎症・リモデリングの病態形成に重要な役割を果たしている可能性が示唆される。
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