2009 Fiscal Year Annual Research Report
肺気道リモデリングにおけるメカニカルストレスの役割
Project/Area Number |
19689017
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
伊藤 理 Nagoya University, 医学部・附属病院, 助教 (60378073)
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Keywords | メカニカルストレス / 気道平滑筋 / 気管支喘息 / メカノトランスダクション / カルシウムイオン / ARDS / IL-8 / 肺微小血管内皮 |
Research Abstract |
肺・気道リモデリングの病態形成に対するメカニカルストレスの役割を検討した。 培養ヒト気道平滑筋細胞を用いた実験で、繰り返しの細胞伸展(ストレッチ)刺激が、伸展軸に対して垂直方向に細胞整列を引き起こすことを見出した。この細胞整列はストレッチ活性型Ca^<2+>チャネル阻害剤Gd^<3+>およびTRPVチャネル阻害剤ruthenium redで抑制されることから、ストレッチ活性型Ca^<2+>チャネルを介したCa^<2+>流入により制御されていると推測された。 培養ヒト肺微小血管内皮細胞を用いた実験では、繰り返しのストレッチ刺激によりストレッチ活性型Ca^<2+>チャネルを介したCa^<2+>流入が生じることを見出した。細胞に対するストレッチをアクチン細胞骨格が感知することによりCa^<2+>流入を制御されていることを証明した。この内皮細胞にTRPVチャネル群TRPV-2,-4が発現していることを見出した。更に、繰り返しのストレッチ刺激により同細胞からのサイトカイン(IL-6)、ケモカイン(IL-8, MCP-1)産生が亢進することを見出した。ストレッチによるIL-8産生に着目し、これがp38 MAP-kinaseにより制御されていることを見出した。 以上の知見から、気道平滑筋細胞、肺微小血管内皮細胞の機能はメカニカル環境によって影響を受け、細胞内シグナルの活性化を介してサイトカイン・ケモカイン産生など肺・気道における炎症、リモデリングの病態形成に関与していると考えられる。メカニカルストレスが喘息、ARDSの病態生理に重要な役割を果たしている可能性が示唆される。
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