2009 Fiscal Year Annual Research Report
生活習慣病改善因子TFE3による生活習慣病治療への分子基盤の確立
Project/Area Number |
19689019
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
中川 嘉 University of Tsukuba, 大学院・人間総合科学研究科, 講師 (80361351)
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Keywords | 脂肪分化 / TFE3 / 生活習慣病 / 糖尿病 / インスリン / 糖代謝 |
Research Abstract |
糖尿病、高脂血症、高血圧などの生活習慣病は、終局的には虚血性心疾患や脳卒中などの動脈硬化疾患や失明、透析などの糖尿病性合併症を生じて、日本人のQOLおよび生命予後を著しく悪化させており、その管理予防が現代社会における危急の課題である。我々は肝臓において生活習慣病を改善する因子として機能する転写因子TFE3を同定した(Nakagawa Y Nat.Med 2006)。本研究では肝臓とともにエネルギー代謝調節に重要な組織である脂肪および筋肉におけるTFE3の機能を明らかにすることを目的とした。脂肪特異的TFE3発現マウスを作成し、解析を行ったところ、高脂肪食負荷による肥満に対し、TFE3は肥満抑制に機能した。また、褐色脂肪組織での熱産生がTFE3により亢進しており、このことにより脂肪が燃焼され肥満が抑制されるのではないかと推測している。筋肉については骨格筋特異的TFE3発現マウスを作成した。作製されたマウスの筋肉内のグリコーゲン量の増加が見られており、TFE3が骨格筋内のグルコース代謝への関与が推測される。遺伝子発現解析からもグリコーゲン合成に関わる遺伝子群の発現が誘導されていた。このことは肝臓と同様に糖代謝の責任臓器である筋肉の機能を向上させ、血中グルコースを骨格筋に取り込み血糖値を低下させる機能を示している。つまり、筋肉での解析はTFE3が生活習慣病改善に機能する可能性を示唆する結果であり、現在、詳細な検討を行っている。
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