Research Abstract |
本研究では,新生児脳疾患の定量的診断支援を行うため,MRI装置を用いた計算機画像診断支援システムの開発を目的とする.同システム実現の基幹技術として,特に(1)新生児脳MRI画像からの大脳自動領域抽出法,(2)白質・灰白質の自動髄質認識法,(3)脳葉自動分割法を提案する.これにより,正常発達児および低酸素性虚血性脳症児の脳の局所的萎縮,白質・灰白質の容積比を算定し予後との関連を解明することで,新生児医学の発展に高く寄与する. そこで本年度は,新しい診断支援システムの研究・開発を行うため,まず兵庫医科大学放射線科(共同研究契約済み)の協力で,18例の月齢1ヶ月から6歳までの新生児,乳児を対象に脳MRI画像撮影を行った. つぎに,大脳領域抽出法として動的輪郭モデルを用いた脳領域自動抽出法を提案し,放射線科医らの手動による脳体積計測値と比較し,感度97. 7%と非常に高い精度での計測が可能となった. また,脳表輪郭の高精度検出法として, Thick-rubber-model(TRM)とよぶ新しい輪郭検出法を提案した.これにより,サブボクセル精度での高精度な輪郭検出が可能となり,脳表立体表示での評価や,脳表面積の計測などに非常に有益である. さらに,脳表の脳回面積計測法を提案した.同手法は脳上方からの投影画像上において,脳溝を基準に脳回境界を自動決定することで,脳回分割を行う. これらの研究により,新生児を対象とした,MR画像からの全脳抽出を初めて実現し,さらに脳表の高精度検出,脳回識別の一手法を提案することができた.
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