2009 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞膜フォーカストプロテオミクスでの薬物輸送体群発現同時絶対定量と抗癌剤感受性
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19689028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野川 徹 Tohoku University, 病院, 助教 (50431557)
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Keywords | 薬物輸送体 / トランスポーター / 抗癌剤感受性 / プロテオミクス / バイオマーカー |
Research Abstract |
申請者の専門である膵癌に着目し、膵癌培養細胞株におけるGemcitabine(GEM)感受性・耐性因子となり得るABC輸送体、SLC輸送体、細胞膜マーカー蛋白、GEM代謝酵素、計85分子に特異的ペプチドを設計し、MRM MS-based assayの同時絶対定量(ターゲットプロテオミクス)にて発現プロファイルを明らかにした。得られた定量値を用いた感受性予測式はIC50値と高い相関を示した。次に、膵癌手術標本10例を用いて、生存期間と定量値からGEM感受性予測とテーラーメード治療への可能性を検証したところ、算出される値が低値な症例はGEMに対し耐性を示し、高値な症例は感受性を示すことが示唆された。更に本技術を他の抗癌剤にも応用することで感受性の高い薬剤の選択が可能となり、テーラーメード治療への応用が大いに期待された。 本研究では膜蛋白が解析対象のため、一定量の組織が必要であることや、肝胆膵疾患手術症例の少なさから、検証を重ねるには労力と時間がかかり困難であった。しかしながら、最近、医療機関に大量に保管されているホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織を出発材料に用い、網羅的にプロテオーム解析(グローバル解析)を行い、候補蛋白質を定量解析(ターゲット解析)する戦略が活発に実践され、その有効性が示されてきている。FFPE標本を用いた研究の最大の利点は、膨大な数の試料が予後情報等の臨床データを加えた状態でアーカイブされており、レトロスペクティブな解析が容易な点である。現在は、過去10年間の胆道癌・膵癌切除例のFFPE標本から蛋白質発現プロファイルを比較して、特異的に発現している候補蛋白100種以上を同定・半定量し、この候補蛋白の定量検証を行っている。将来的には早期発見に繋がるバイオマーカーや予後予測に使用できるバイオマーカーを明らかにして行きたいと考えている。
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