2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌細胞膜フォーカストプロテオミクスでの薬物輸送体群発現同時絶対定量と抗癌剤感受性
Project/Area Number |
19689028
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野川 徹 東北大学, 病院, 助教 (50431557)
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Keywords | プロテオミクス / トランスポーター / 抗癌剤感受性 / 質量分析 / バイオマーカー |
Research Abstract |
申請者の専門である膵癌に着目、膵癌培養細胞株Gemcitabine(以下GEM)感受性・耐性因子となり得るABC輸送体26種、SLC輸送体42種、細胞膜マーカー2種、GEM代謝酵素15種の計85分子に特異的ペプチドを設計し、MRM MS-based assayによる同時定量を行った。定量値を用いた感受性予測式は、各培養細胞株のIC50値と高い相関を示した。次に、自施設の膵癌手術組織を用いて、生存期間と定量値からGEM感受性予測の可能性をレトロスペクティブに検討したところ、同様の結果が得られ、本システムによる個別化医療への可能性が示唆された。 本研究では膜タンパク質を抽出する必要があり、組織量を必要とするが、肝胆膵疾患手術症例の少なさから、検証には困難を極めた。近年の技術革新により、病院で大量に保管され、臨床情報がアーカイブされたホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織からのプロテオーム解析が可能となった。そこで、膵癌及び胆道癌の治療成績を予測するバイオマーカー探索を目的に、ショットガン解析により、正常胆管と胆管癌、膵癌の予後良好群と不良群などのタンパク質発現プロファイルを比較し、特異的に発現する候補タンパク質100種以上を同定し、これらの候補タンパク質をMRM MS-based assayによる同時定量にて、胆道癌の早期診断マーカータンパク質、膵臓癌予後予測マーカータンパク質をそれぞれ約30種を最終的に抽出し、対象症例全例での定量検証をすすめている。
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