2007 Fiscal Year Annual Research Report
頭部外傷における衝撃波・キャビテーションの関与に関する検討:治療法と受傷時防止機構の開発
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19689030
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中川 敦寛 Tohoku University, 病院, 助教 (10447162)
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Keywords | 衝撃波工学 / レーザー光学 / 高エネルギー外傷 / 対側損傷 / 頭部外傷モデル / アジ化銀 / 高速度撮影 / 過剰圧 |
Research Abstract |
本研究の目的は頭部外傷受傷時における衝撃波、それに付随して発生するキャビテーションの関与の有無を明らかにし、それが脳損傷に与える影響と機序を解明した上で、受傷時の予防手段の開発に繋げることにある。本年度は1).衝撃波頭部外傷動物モデルを用いて衝撃波およびキャビテーションにより起こる変化を組織学的・免疫組織学的・機能的に経時的に検証し、既に方法論が確立されている既存の頭部外傷モデル、脳虚血モデルにおける組織学的・免疫組織学的・機能的変化との比較を行い、脳実質損傷における衝撃波およびキャビテーションの関与の有無を明らかにすることを目的として検討を行った。8週令雄性SDラット右頭頂部に全麻下に骨窓を設け、アジ化銀を用いて衝撃波を発生、硬膜上から脳に単発照射を行った。照射過剰圧によりI.5MPa以下、II.5〜10MPa、III.10〜15MPa、IV.15〜20MPa、V.20〜25MPaの5群に分けた。経時的変化としては照射1、3、24、72時間後において標本を摘出した。これまでのところ、II.III群においては衝撃波照射側に組織学的には前者では照射部を中心に脳内出血・壊死が認めらた。また、エバンスブルーを照射直後に静脈内投与すると、出血・壊死が認められた領域外から脳梁を介して反対側におよぶ範囲内に色素の漏出が認められ、血管透過性の亢進を示唆する所見と考えられた。血管透過性の変化を示す機序としては摘出標本に対して免疫組織学的検討を行い、matrix metalloproteinase (MMP)2および9の増加を認める傾向にあったが、経時的変化を含めて検討を継続している。次年度は本動物モデルを用いた検討を継続し、IVおよびV群における組織学的検討により対側損傷の有無、また照射から72時間以内の組織学的所見の経時的変化を明らかにし、これらが引き起こす損傷を抑えるための急性期治療法を開発することを目的として損傷機序に関する検討をすすめる予定である。
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Research Products
(5 results)