2007 Fiscal Year Annual Research Report
内在性神経幹細胞および自己修復能に着目した脊髄損傷の新規治療法開発
Project/Area Number |
19689031
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 誠司 Kyushu University, 医学研究所, 学御研究員 (30448435)
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Keywords | 脳・神経 / 脊髄損傷 / 再生医学 |
Research Abstract |
本研究の目的は、マウス脊髄損傷モデルを用いて中枢神経外傷後の修復に関わる細胞群および関連遺伝子を同定することである。損傷亜急性期の運動機能回復に於いて、反応性アストロサイトによる損傷脊髄の修復が重要であることを報告した。しかし、反応性アストログリアは特定の細胞群ではなく、むしろ細胞形態の変化、場所、細胞骨格蛋白の発現変化という『現象』をとらえた定義であったため、非常に曖昧であり、それゆえこれまで解析が困難であると考えられた。そこで、反応性アストロサイトの起原同定をNestin-transgenicマウスを用いた経時的組織切片解析により行ったが、その起原はresidualな状態のアストロサイトであり、損傷後早期よりNestinの発現は広い範囲で上昇するものの徐々に損傷周囲に限局され、最終的にはグリア瘢痕を形成する反応性アストロサイトのみに残存することが示唆された。また、新たに発現遺伝子profileによる反応性アストログリアの定義を確立するため、細胞特異的遺伝子発現解析法の開発を試みている。これは、脊髄組織より全ての細胞核を採取・回収し、発現遺伝子によるソーティングを行うという新しい発想に基づくものである。実際に組織より核を抽出することに成功し、発現遺伝子によるニューロンやグリアのソーティングを行える段階である。本技術により反応性アストログリアの解析が進み、中枢神経外傷後の自己修復メカニズムが解明されれば新たな治療法に繋がる可能性は高いと確信している。
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