2009 Fiscal Year Annual Research Report
内在性神経幹細胞および自己修復能に着目した脊髄損傷の新規治療法開発
Project/Area Number |
19689031
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡田 誠司 Kyushu University, 医学研究院, 特別准教授 (30448435)
|
Keywords | 脳・神経 / 脊髄損傷 / 再生医学 |
Research Abstract |
脳や脊髄などの中枢神経系は多種多様な細胞が複雑なネットワークを構築して存在しており、外傷後に特定の細胞のみの機能を解析することは困難であった。我々は先行研究により、損傷亜急性期の運動機能回復に於いて反応性アストロサイトによる損傷脊髄の修復が重要であることを報告したが、反応性アストロサイトを選択的に採取解析する手法が無いため、その機能解析は不十分であった。そのため、反応性アストロサイトのマーカーであるNestinあるいはGLAST遺伝子制御下にGFPを発現させたレポーターマウスを用いて、この細胞の選択的回収ならびに解析を試みた。まず、目的とする特定の細胞の"核"のみを生かしたまま選択的に抽出し、経時的な細胞増殖の推移や発現遺伝子の網羅的解析を目指した、新しい解析技術開発技術を立ち上げた。脱核剤とホモジナイザーを併用した物理的化学的刺激により、脳脊髄組織から高純度に核を抽出することに成功した。この方法は、従来の細胞骨格マーカーや細胞形態からのニューロン・グリア分類ではなく、核内発現蛋白や遺伝子を指標として分類する点に特徴がある。しかし、GFP陽性核を採取しても、核移行シグナルが欠損した状態では核膜孔からGFPの漏出が起こり回収が不安定であることが判明した。そのため、脊髄組織のホモジナイズ条件を検討し、損傷脊髄中からGFP陽性細胞のみをセルソーターで回収することに成功した。回収した反応性アストロサイトは培養系に於いては増殖因子存在下で自己増殖能を示し多分化能も確認されたため、内在性神経幹細胞としての可能性が示唆されたが、in vivoの環境に於いてこれらが神経細胞へと分化することは確認されなかった。また、脊髄損傷後の炎症反応プロファイルをFACSを用いて詳細に解析することに成功し、浸潤好中球の制御が新規治療法に繋がる可能性を示した。
|