2007 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用へ向けての子宮内膜・子宮筋幹細胞特異的分子システムの解明
Project/Area Number |
19689034
|
Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梶谷 宇 Keio University, 医学部, 助教 (60407111)
|
Keywords | 再生医学 / 幹細胞学 / 子宮内膜 / 子宮筋 |
Research Abstract |
細胞染色色素Hoechst33342による染色パターンによって、各種細胞はSide Population (SP)細胞集団とそれ以外の(Main Population, MP)細胞集団とに分割することができるが、研究代表者らは、子宮内膜組織ならびに子宮筋組織由来のSP細胞を分離し、本SP細胞群が幹細胞的特性の高い細胞集団であることを示してきた。その幹細胞性の維持および分化誘導における分子レベルでのメカニズムに関しては全く不明であるが、今後、この成体幹細胞システムを臨床応用するためには、幹細胞特異的な分子メカニズムの解明が不可欠である。そこで、メカニズム解明のため、子宮内膜組織ならびに子宮筋組織由来のSP/MP細胞群間での各種遺伝子発現量の差異を網羅的に解析し、SP細胞群において特異的に発現が上昇している遺伝子群、すなわち、新たな幹細胞マーカーまたは幹細胞特性を規定するマスター遺伝子の候補となりうる遺伝子群の同定を試みた。解析の結果同定された種々の遺伝子群の中で、内膜組織・筋組織いずれにおいてもSP細胞特異的に高発現していた細胞表面抗原CD-X(仮称)に着目し、まず、ヒト子宮組織におけるCD-X発現局在を免疫組織化学で検討したところ、子宮筋層と子宮内膜の境界部分での発現を確認した。子宮において組織再構築が行われる際、この領域から組織幹細胞が供給されるものと考えられており、このことから、CD-Xは子宮内膜、子宮筋共通の幹細胞マーカーであり、かつ、両組織において幹細胞機能を規定するマスター遺伝子であると考えられた。また、CD-X陽性細胞は、幹細胞特性の一つであるコロニー形成能、ならびに他系列への分化能という別の幹細胞特性も有していることが明らかとなった。以上より、CD-X遺伝子産物は幹細胞マーカーとして有用であるだけでなく、幹細胞特性を規定する何らかの機能を有していると考えられた。
|