2009 Fiscal Year Annual Research Report
臨床応用へ向けての子宮内膜・子宮筋幹細胞特異的分子システムの解明
Project/Area Number |
19689034
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
梶谷 宇 Keio University, 医学部, 助教 (60407111)
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Keywords | 再生医学 / 幹細胞学 / 子宮内膜 / 子宮筋 |
Research Abstract |
本研究においては、新たな幹細胞マーカーおよび幹細胞特性を規定するマスター遺伝子の候補となりうる遺伝子群を探索・同定すべく、子宮内膜由来SP(side population、幹細胞特性を持つ細胞集団)細胞と非SP細胞の間で種々の解析を行い、すでに、発現に相違の認められる発現遺伝子群のプロファイルを得ている。これらの遺伝子群について、前年度に種々の解析を行った結果、幹細胞特性に非常にかかわりが深いと考えられる細胞表面抗原CD-X(仮称)を同定した。このCD-X陽性細胞について種々の解析を加えた結果、子宮内膜由来CD-X陽性細胞特異的な性質として、通常条件での安定した細胞継代培養、in vitroでの脂肪細胞への分化誘導、並びにコロニー形成能といった、他の組織幹細胞でも見られるような幹細胞特性が観察された。また、CD-X以外の遺伝子群についても、細胞表面抗原Y(仮称)や転写因子Z(仮称)などの発現・機能解析も開始した。転写因子ZのmRNAは子宮内膜SP細胞においては非SP細胞よりも有意に高発現していたが、子宮筋SP細胞と非SP細胞との間には発現量の差異は認められなかった。子宮内膜細胞においてはステロイドホルモン添加による発現量の変化は認められなかった。正常子宮内膜組織においては間質細胞の核に特異的な発現が認められた。現在、転写因子Zの強制発現性を用いて、幹細胞特性への関与を検討しているところである。細胞表面抗原Yに関しては、正常子宮内膜組織においては腺細胞に特異的に発現していることがわかったが、具体的な幹細胞特性への関与は今後解析していく予定である。 本研究の成果によって、これまで不明であった子宮内膜における疾患メカニズムの解明や、再生医療に常に付きまとう、使用する細胞の癌化や生理機能低下といった問題の解決へ向けて前進できたと考える。
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