2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700002
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
水木 敬明 Tohoku University, 情報シナジー機構, 准教授 (90323089)
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Keywords | アルゴリズム / 暗号・認証等 / ネットワーク |
Research Abstract |
本研究課題は,何人かのプレーヤーがいて,各プレーヤーは自分だけに秘密な入力を持っているとき,それぞれのプレーヤーの入力は秘密にしたままで,ある目的とする関数を計算し,その出力結果だけを全員のプレーヤーで知ることができるようなプロトコルを設計する問題,すなわち「安全な計算」に関する問題に焦点を絞り,これまで知られている過去のプロトコルよりも優れた暗号プロトコルを提案することを目的としている。特に,回路設計理論におけるさまざまな優れた既知の結果・手法を適用することにより,実用上効率的な暗号プロトコルの開発を目指す。すなわち,本研究は,研究課題名が示す通り,回路設計理論の安全な計算への実用的応用を目指すものである。今年度に実施した研究の成果は次の通りである。AND-EXOR論理式は,論理項を排他的論理和で結んだものであり,ESOP(Exclusive-ORSum-of-Products)表現とも呼ばれ,現在まで様々なクラス・条件の論理関数に対して,ESOP表現の簡単化や最小化のアルゴリズムが開発されている。一方,研究代表者は,ESOPの積項数に比例した性能をもつ,安全な計算を実現する暗号プロトコルを既に開発している。ここでは,多値2入力論理関数に焦点をしぼり,ブール行列の階段化を実行することと,ESOP表現を簡単化することとの関連性を見出すことに成功した。行列の階段化については,既知のさまざまな有名なアルゴリズムを適用するだけでその高速化が実現できるため,本成果をべースにして,ESOP表現の最小化を実現する効率の良いアルゴリズムが開発されることが期待され,それにより研究代表者が開発した既存の暗号プロトコルの高効率化が実現できる。
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