2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700011
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西村 治道 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 講師 (70433323)
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Keywords | ネットワーク符号 / 量子計算 / 量子通信 |
Research Abstract |
本研究では, ネットワーク符号の概念の量子計算および通信への適用可能性およびその応用が研究されている. 本年度に得た研究成果は, 以下の通りである. 1. ネットワーク符号の多項式時間構成法と量子ネットワークへの応用 ネットワーク符号の研究において盛んに研究されているネットワークにkペア通信問題がある. これはk対の情報の送信者と受信者のペアがネットワーク上に配置されたとき, 一定のキャパシティを持ったネットワークの各辺を通って, それぞれのペア間での情報送信が可能となるかどうかを明らかにする問題である. この問題は一般にNP完全問題であることが知られているが, kを有限に制限した場合は多項式時間で解ける可能性がある. 2007年の国際会議ISITでk=2の場合に対する多項式時間アルゴリズムが提案されたが, 本研究では全く異なる方法で, 有限体を通信単位として利用する場合に, 任意の有限のkに対する多項式時間アルゴリズムを提案した. またその量子ネットワークへの応用についても研究し, 古典情報の補助のもとで量子状態を通信するネットワーク符号に提案アルゴリズムを適用できることがわかった. 2. 量子質問計算量の特徴付け 質問計算量とは, 入力として与えられるデータへのアクセス回数に対応する計算量のことで, データの様々な特性を調べるために必要な質問計算量の研究は, 従来の計算量理論において盛んに研究されている. 量子アルゴリズムを利用した場合の質問計算量は量子質問計算量と呼ばれ, 量子計算理論における代表的なトピックである. 本研究では, データの特性を表わすプール関数のオンセットや成功確率に関連する多項式の次数などの尺度を利用して, 量子質問計算量の特徴付けを試みた. また量子質問計算量と量子通信計算量の関係を研究し, Cleveらによって得られた2つの計算量間の関係がいくつかのアルゴリズム的条件のもとでは最適であることを証明した.
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Research Products
(13 results)