2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700011
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西村 治道 Osaka Prefecture University, 理学系研究科, 講師 (70433323)
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Keywords | ネットワーク符号 / 量子計算 / 量子通信 |
Research Abstract |
本研究では,ネットワーク符号の概念の量子計算と通信への適用可能性およびその応用が研究されている.本年度に得た研究成果は以下の通りである. 1. 補助的な古典通信路を認めた量子ネットワーク符号 QIP2006での研究者らによる発表以降,量子ネットワーク符号の研究は盛んになされつつある.これは,ネットワーク上に配置されたk対の送受信者ペアが,ネットワークの各辺を(一定のキャパシティの制約下にある)量子通信路とする場合に,ネットワーク途上における符号化を利用することで,k対の量子情報を効率的に送信できるかを研究する分野である.送信される情報や通信路が古典である場合は,ネットワーク符号の有用性を示す多くの結果が得られている.一方で,研究者らやそれに続くこれまでの研究では,量子ネットワーク符号は古典の場合と異なり,量子情報の連続性などの理由からネットワーク符号の利用による完全な情報伝送は不可能であることが示されてきた.本年度の研究では,量子通信路に加えて補助的な古典通信路を認めた場合の量子ネットワーク符号め適用可能性を研究した,その結果,この設定下では,あるネットワーク上におけるネットワーク符号問題を考えたときに古典の線形符号を用いて実現可能なネットワーク符号による効率化は,量子でもまた実現可能であることを証明した. 2. 量子ゲームと量子通信計算量の関係 量子情報の非局所性を示すBellの不等式の破れやその非局所性の限界を示すCHSH不等式は,近年複数のプレーヤーによるゲームの形に再定式化され,計算量理論的なアプローチから研究されている.本研究では,CHSH不等式とそのある種の一般化に対応する量子ゲームと量手ランダムアクセス符号などの量子通信計算量とのつながりを与え,量子通信計算量のプロトコルから得られる新しい量子ゲームの構築を行った.
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Research Products
(19 results)