2007 Fiscal Year Annual Research Report
数式処理を施さずにシャープな評価を得る区間演算方式
Project/Area Number |
19700014
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
宮田 孝富 Kanazawa Institute of Technology, 工学部, 講師 (30329114)
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Keywords | 精度保証付き数値計算 / 区間演算 / アフィン演算 |
Research Abstract |
アフイン演算で同じ非線形演算から生じた誤差項を同類項としてまとめるためのデータ構造として,誤差項生成時の情報をクラスのメンバとして蓄える方法について検討した. その結果,このアプローチでは(2sin(x)-sin(x)のような)いわゆる自明な同類項のまとめは実現できた.しかし(人工的ではあるが,たとえばx*y/y-xのように)数学的には同類項のまとめがきく場合でもその過程に非線形演算を含むような場合には19年度に検討した方法ではうまくいかなかった.これは,非線形演算では演算結果を「(真の像の線形近似)+(最大絶対誤差)」として表すというAffine Arithmeticの演算規則が原因で起こる.また,より深刻なことには,Affine Arithmeticにおける丸め誤差の取り扱い(定数項だけを区間形式で,ダミー変数の係数を浮動小数点数としてそれぞれ格納する方法)が原因で,自明な同類項のまとめにおいても係数が浮動小数点数で正確に表現できない場合に平成19年度のアプローチではうまくいかないことがわかった.すなわち,Affine形式の変量x=x0+x1ε1+・・・+xnεnに対して,たとえば0.1xのように変量xにかかる係数が2進浮動小数点数で正確に表せない場合,0.1を含む区間(ここでは[0.1]と表す)とxとの積を計算し,区間[0.1]*xiの中心をεiの係数とし,[0.1]*x0+Σ|区間[0.1]*xiの半径|を定数項とする.19年度のアプローチでは,「演算の種類」と「オペランドとなる変量の各ダミー変数の係数の比」の2つをもとに同類項か否かの判定を行っていた.しかるに,2進浮動小数点数で正確に表現できない定数の定数倍を行ってしまうと,「オペランドとなる変量の各ダミー変数の係数の比」が計算機の丸めによって崩れてしまい,結果x-0.1xのように同類項としてまとめられるべきものが同類項と判定されないことが起こる.
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