2009 Fiscal Year Annual Research Report
分散環境における量子計算能力のネットワーク形状に着目した解析
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19700019
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Research Institution | NTT Communication Science Laboratories |
Principal Investigator |
谷 誠一郎 NTT Communication Science Laboratories, 協創情報研究部, 主任研究員 (70396183)
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Keywords | 量子計算 / 量子通信 / 量子情報処理 / 通信複雑さ / 量子プロトコル / 分散計算 / ネットワーク / 量子情報 |
Research Abstract |
多数のノードから構成されるリング状ネットワーク上において,各ノードに対して入力が与えられた場合に,それらの入力に依存する次のような問題を解くために必要な通信量について検討を行い,準最適な通信量を明らかにした:同じ入力を持つノード同士を同じグループにしたときに,最大のグループの大きさ(グループを構成するノード数)を求めよ.なお,この問題は,特殊ケースとして,応用上重要な次の問題を含む:各ノードの入力が全て異なるか否か判定せよ.これらの二つの問題を解くための最適な通信量は,ほとんど同じであることを明らかにした.これらの問題を解くアルゴリズムでは,予め全てのノードがランダムビット列を共有していることを仮定するモデルを介在させることにより,シンプルなものになっている.上記モデルにおける量子分散計算の性質については,本研究課題における,昨年度までの成果であり,今回はその応用例となっている. また,通信ノードでの処理の高速化に寄与する,算術演算量子回路についての検討を行った,具体的には,ある量子ビットの値を他の複数の量子ビットに並列にコピーできるゲートを許した場合に,回路サイズと必要な量子ビットの数を抑えながら,大幅な高速化が期待できることを明らかにした.さらに,コピーの並列度と高速化の度合いの関連性を数学的に明らかした,これにより,所望の高速化を達成するために十分なコピーの並列度を示すことができる.
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