2007 Fiscal Year Annual Research Report
ヘテロジニアス・マルチコア時代の統一的ソフトウェア開発手法に関する研究
Project/Area Number |
19700020
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
滝沢 寛之 Tohoku University, 大学院・情報科学研究科, 講師 (70323996)
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Keywords | ハイパフォーマンスコンピューティング / 情報システム / 自動チューニング / GPUコンピューティング |
Research Abstract |
平成19年度には,CPUと描画処理用ユニット(Graphics Processing Unit, GPU)を搭載している一般的なPCを想定し,そのCPUとGPU間での移植性を維持しつつ両者を効果的に利用可能な高級プログラミング言語処理系としてSPRAT(Stream Programming with Runtime Auto-Tuning)を試作した.現在盛んに行われているGPUコンピューティングでは,NVIDIA社のCUDAなどを用いて,ハードウェア構成を意識した抽象度の低いレベルでのプログラム開発が行われており,GPUの世代間の移植性を考えると現在よりもさらに抽象度の高いプログラム開発環境が求められている.しかしSPRATのようにプログラマが個々のプロセッサの違いを意識しない,ハードウェアが高度に抽象化されたプログラム開発環境の実現を考えた場合,異種複数のプロセッサを搭載するシステムでは各処理を実行するプロセッサを自動選択しなければならない.本研究では,その最適なプロセッサ選択が実行時の様々な要因に依存していることを様々な計算カーネルにおける性能解析により明らかにした.その結果に基づき,実行時性能予測に基づいてプロセッサを自動選択する機能がSPRATの設計段階から考慮されている.LU分解および2次元非圧縮流体シミュレーションをアプリケーション例としてSPRAT言語で記述し,PCに搭載されたCPUとGPUの性能差や問題サイズなどの実行時パラメータに応じて,SPRAT実行環境がプロセッサを適切に自動切り替え可能であることを評価実験により示した.加えて,GPUを利用することによって飛躍的な計算性能向上を達成できることを実証するため,アプリケーション例として交差判定処理の効果的なGPU実装の開発にも取り組んだ.
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