2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19700032
|
Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
伊藤 暢浩 愛知工業大学, 情報科学部, 准教授 (40314075)
|
Keywords | マルチエージェント / 災害救助 / 協調行動 / 災害シミュレーション / レスキュー工学 |
Research Abstract |
自然災害への取り組みの1つに災害救助シミュレータの実現がある.これは被災地のシミュレーションを通して,自然災害の被害予測や,被害対策などへの利用が期待されている.このシミュレータでは,適用する地域に応じて地図や災害救助エージェントの能力を自由に変更できなくてはならない.そのために「マルチエージェントシステムの協調行動と地図(環境)の関係の明確化」を目指す.本年度は最終年度として1.地図の特徴に基づく分類について検討し,分類された地図と災害救助エージェントとの間の関係を分析する,2.エージェントの行動を評価する指標について検討する,3.災害シミュレータに統合する,の3つを実施した. まず1.について,Open Street Mapから作成した地図データを自己組織化マップ(球面SOM)で分類し,その分類の意味について検討した.地図データは大きく2つに分類され,一方は都市部のデータであると考えられ,他方はそれ以外の地域であると考えられる。都市部ではないデータは,さらに詳細な分類が可能であると考えられるが,地理的な特徴を見いだすには地図データ数が不十分で,より多くのデータが必要であることがわかった.また2.については災害救助の側面からは人命に注目した評価を行うべきであり,マルチエージェントの研究の側面からは,災害救助シミュレーションに内在するリソース割当や動的経路探索などの問題に注目する必要があると結論づけた.この点から3.としてリソース割当(オークションアルゴリズム)に特化した災害救助シミュレーションパッケージの設計と実装を行い,その動作確認までを行った.今後は細部を調整して,災害救助のコミュニティに提供していく予定である.
|