Research Abstract |
平成19年度は,1.マルチコアで動作可能なOSの構築,2.資源の変動を検出可能なメカニズムの構築,3.仮想計算機モニタがゲストOSの動作を観測可能とするメカニズムの構築,この3点について重点的に研究を進めた. 1.については,独自で開発しているOSであるLavenderについてマルチコア化を行った.現在,複数のコアを起動させる機能の付加を完了した.これに伴い,今後は,OSのCPUスケジューラによってコアヘプロセスを割り当てるための機能を開発し,マルチコア化を完了する予定としている. 2.については,特に割り当てられたコア数が増減したときに,OSのCPUスケジューラとしてどのような機能が必要かについての検討を行った.この機構は,1.のマルチコア化が完了し次第,さらに具体的な検討・開発に着手する.なお,1.と2.の成果については,情報処理学会研究報告で「動的なプロセッサコア資源の変動に適応するCPUスケジューラの検討」として発表した. 3.については,既存の仮想計算機モニタであるXenについて,その内部構成を調査した.さらに,ゲストOSがどのようなデバイスに対する操作を行っているか,入出力処理ついて情報を取得・可視化するためのソフトウェアをXen上に開発した.この成果は,情報処理学会研究報告の「仮想計算機モニタを利用したゲストOSの入出力要求監視手法」として発表した.今後は,プロセス構造体,メモリ管理のための構造体,ファイル構造体,スケジューラのキューといったOSの内部情報を観測する手法について開発を進める.これによって,能動的な計算機資源の割当て方式の開発につなげる予定である.
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