2008 Fiscal Year Annual Research Report
有機的に連携した負荷・実行時間予測と予測を利用する負荷分散システムの構築
Project/Area Number |
19700052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
菅谷 至寛 Tohoku University, 大学院・工学研究科, 助教 (80323062)
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Keywords | 負荷予測 / 実行時間予測 / 負荷分散 / 並列処理 / グリッドコンピューティング |
Research Abstract |
効率的な並列・分散処理のためには適切な資源管理が重要であるが, 環境によっては見かけの計算能力が変動することがある. 本研究では効率的な負荷分散を実現するために, 負荷予測及びタスク実行時間予測を利用する資源管理システムを構築することを目的としている. 本年度は, 昨年度に一部を実装した, 負荷時系列による長期負荷予測システムに対し, タスク実行時間予測アルゴリズムと, それによって予測されたタスク実行時間を利用する負荷時系列予測(実行時間予測法)を実装した. 実行時間予測法は, 大きく外れる場合もあるため平均的な精度では時系列による予測(プロセス検索法)にやや劣るが, きわめて正確な予測が可能な場合も多い. これらの予測手法を相補的に利用することで高精度な予測が可能であることが確認できた. また, 実装した長期負荷予測システムを用いて負荷分散実験を行い, 予測に基づくタスク割当てが有用な場合があることを確認した. さらに, タスク実行時間予測アルゴリズム自体の改良も行った. 本手法は, 類似したタスクの実行時間は類似する場合が多いという事実に基づいているが, 予測精度向上のためには「タスクの類似性」を求めるためのテンプレート(タスク属性の集合)の構築が重要である. 従来手法では, 予測を実際に多数回行って貧欲法または遺伝的アルゴリズムでテンプレートを求めていたが, 時間がかかるため事前に求めておく必要がある. 提案手法では, 相互情報量を利用して複数のテンプレートを導出することで複数の仮予測を行い, テンプレートに含まれる属性数と信頼度に基づいて採用する仮予測の選択を行う. 信頼度は仮予測の選択に利用するだけでなく, 信頼性が低いと推定される予測結果を予めリジェクトするために利用することもできる. 本手法は, セミオンラインでテンプレートを更新可能であり, これによって予測精度が向上することを実験によって確認した.
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