2007 Fiscal Year Annual Research Report
車車間ネットワークの流動性を隠蔽する静的オーバレイネットワーク
Project/Area Number |
19700062
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山口 弘純 Osaka University, 大学院・情報科学研究科, 准教授 (80314409)
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Keywords | VANET / オーバレイネットワーク / 車車間通信 / 無線アドホック通信 |
Research Abstract |
本研究では、車車間ネットワーク(VANET)の流動性を隠蔽しVANETの上位に安定して存在する静的なオーバレイネットワークを構築する手法を考案している。このオーバレイネットワークは、VANETを構成する車両の物理的な移動に関わらず、一定の地理区画ごとに、ルータ機能とストレージ機能を備えた静的仮想ノードを提供する。隣接区画の仮想ノード間はオーバレイリンクで接続され、ある仮想ノードへ送信されるデータはその仮想ノードの区画の車両へと転送される。したがって、全体としてはあたかも静的なメッシュネットワークのように振舞う。これにより、多地点間データ共有アプリケーションや無線スポットのエリア拡張によるインターネットサービスの提供、交通量に応じた連動信号制御など、多様なアプリケーションをあたかも静的ネットワークで実装するように実現できるネットワーク環境の実現を目指している。本年度はこのプロトコルの基本設計を行った。具体的には、下位ネットワークとなるVANETの基本アーキテクチャ設計、オーバレイネットワークの基本アーキテクチャ設計、ならびに仮想ノード担当車両選出アルゴリズムと仮想ストレージ構成アルゴリズムの考案を行った。予備的なシミュレーション実験により通信の安定性に関する基本性能を確認した。その結果、単純に車車間ルーティングを用いて2車両間で通信を行う場合と比較し、より安定したパケット到着率が得られることが確認できた。今後はこの結果をもとに、実環境における性能調査のためテストベッド上でのプロトタイプ実装を行う予定である。
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